熱帯熱マラリア原虫メロゾイト表面抗原(PfMSP1)の抗原多様性を遺伝子レベルで解析した結果、以下の様な成果が得られた。 1.PfMSP1遺伝子変異領域特異的プライマー合成 PfMSP1抗原多様性をPCRで調べるために変異領域であるブロック2、4、6、10、14について、変異型特異的プライマーを多種類合成し、MAD株とK1株のDNAを用いて変異型特異的反応を示すプライマーを数種類確定できた。 2.PfMSP1ブロック4組換え型の確認 ベトナム、及び、ソロモン諸島のマラリア流行地から得た100検体以上のサンプルをPCR解析した結果、変異領域の一つであるブロック4においてMAD型とK1型以外に、両型の組換え型が存在することを見い出した。これはPfMSP1が変異領域においても組換えを起こして多様性を増すことを示す。 3.複数のPfMSP1型の重複感染 ベトナム南部の二つの県から得たフィールドサンプルを分析・比較した結果、一人のマラリア患者に複数のPfMSP1型が存在する重複感染の程度が地域により異なることを見出した。中でも伝統的な生活習慣(野外生活の多い)を守っているカホ族においてそれが高いことが明らかになった。また、地域間におけるPfMSP1遺伝子型の出現頻度の検討も開始した。
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