研究概要 |
プラスミドRts1の複製開始蛋白質RepA(288アミノ酸残基)の持つ2つの機能、すなわち複製開始点oriに結合してDNA複製を開始させるポジティブな働きと、開始した複製反応を制御するネガティブな働きがRepA分子上どこに局在するかを解明する目的で本研究を行った。そのため、Rts1-RepA分子と相同性が高く、しかし特異性の異なるP1ファージの複製開始蛋白質RepA(286アミノ酸残基)との間で一連のキメラ蛋白質RepALXnを作成し、機能を解析した。 研究結果 1、作成したキメラ蛋白質:RepALX_<12>(P1-RepA256/Rts1-RepA31aa),RepALX_<13>(205/82),RepALX_<15>(144/143),RepALX_<17>(112/175)。 2、P1-oriに対するin vitro結合能:LX_<12>〜_<15>が結合し、LX_<17>は結合しなかった。 3、P1-oriに対するin vivo活性化:LX_2,_3のみがP1-oriからの複製開始能を示した。 2、3は、Rts1-RepAをN末端側、P1-RepAをC末端側をするキメラ蛋白質RepAXnに対応する成績であり、Rts1-RepAのN末端側113〜129aa部位にRts1-ori結合能、これに177〜206aa部位が加わることによりRts1-oriが活性化されるとのすでに得られた知見を強く支持する。 4、Rts1-oriに対するin vitro結合能:LXnの全てが結合した。P1-RepAwtがRts1-oriに結合できることから、このことは当然の帰結と考えられる。なおRts1-RepAwtはP1-oriに結合できない。 5、RepALX_<15>について:Rts1-oriに強く結合し、且つRts1-oriを強く活性化した。興味あるキメラRepAである。 6、複製開始を制御する機能については現在実験中である。
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