研究概要 |
緑膿菌は多くの抗生物質に耐性を示す。その理由の一つはこの菌は薬剤を能動的に細胞外に排出することにある。そしてそれに係わる排出蛋白としてMex-オペロンにコードされる内膜蛋白2種と外膜蛋白一種が同定されている。そこで本研究ではこれらの蛋白質の役割を明らかとするため、次のような実験を行った。(i)薬剤排出に際して薬剤を認識する蛋白を特定化するため光感応性fluoroquinolone及びテトラサイクリンを用いた標識の実験を行ったところ、分子量約13,000と24,000の蛋白質が標識されたが、それらはMex-蛋白とは異なっていた。(ii)MexA,MexB及びOprMに対する抗体を作成するためこれらをコードする遺伝子にpolyhistidine標識を遺伝子操作で付けアフィニティクロマトによって各々の蛋白質を精製した。これを用いて抗体を作成し、次に述べる実験に供した。(iii)Mex-オペロンのmexA,mexB,oprMを独立に破壊した菌を作成し、これを用いてciprofloxacinの細胞内蓄積の実験を行った。その結果mexA,とmexBの変異株では野性株より多くのシプロフロキサンシンが蓄積した。更にoprM欠損株ではmexA/B欠損株より更に高いレベルの蓄積が認められた。従ってこれらの蛋白質の薬剤排出における役割が明らかとなりかけてきた。
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