研究概要 |
1,解析したデングウイルス株:2型デングウイルス(D2)4株中、ThNH7/93は最も重症のデングショック症候群(DSS)から、ThNH28/93はデング出血熱(DHF)重篤度IIから、ThNH52/93はDHF重篤度Iから、ThNHp11/93は軽症のデング熱(DF)患者から分離された。4型デングウイルス(D4)4株中、CT-74はDHF重篤度IIから、CT-129とCT-158はDHF重篤度Iから、CT-77はDF患者から分離された。 2,塩基配列の解析:各株をC6/36細胞で増殖後、感染培養液からウイスルRNAを抽出し、RT-PCRで増幅し、クローニング、又は直接、蛍光色素標識ダイデオキシ法で塩基配列を解析し、解析した。 3,結果 1)D2株の解析:構造蛋白質および非構造蛋白質の1つ(NS1)において、株特異的で蛋白質の性質に重大な影響を与えるアミノ酸変異としては、NS1領域の1053番目のAsp→Gly置換はDSS株特異的であり、PrM領域130番目のIIe→Arg置換はDF株特異的であった。非コード領域において、5′非コード領域は全株で完全に保存されたいたが、3′非コード領域の末端から297-299番目の塩基置換(TCG→CAA)の結果、DF株に予想される2次構造がDSS,DHF株と大きく異なっていた。 2)D4株解析:構造蛋白質およびNS1において、株特異的で蛋白質の性質に重大に影響を与えるアミノ酸変異としては、PrM領域145番目のAsn→His置換、E領域470番目のLeu→Trp置換、E領域520番目のLys→Thr置換、E領域598番目のThr→Ala置換がDHF重篤度II株特異的であり、PrM領域136番目のLeu→Phe置換、NS1領域914番目のSer→Phe置換、NS1領域1042番目のHis→Gln置換はDF株特異的であった。 4,考察:本研究によって発見された株特異的で蛋白質の性質又は3′非コード領域の2次構造に重大な変化を与えると予想される変異を、他の分離株でも確認すること、及び、今回の結果とウイスル株の生物学的性状ないしは発病機構との関係解析が今後の課題である。
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