研究概要 |
1、Flk1を認識するモノクローナル抗体AVAS12を樹立したが、当初目標にした機能阻害抗体は得られなかった。引き続き作成の努力を行う。この抗体は、血管内皮の特異的マーカーとして極めて有効で、免疫系のみならず、多くの研究分野で役に立つと期待できる。 2、Flk2を認識するモノクローナル抗体A2F10を樹立した。この抗体は、受容体機能を阻害できる。この抗体により、B細胞分化の最も初期段階を定義できることを明らかにした。また、この分子がB220陰性段階から陽性段階への分化過程で、細胞増殖に機能していることを明らかにした。 3、これまでに作成した、抗-c-fms,-IL-7R,-Flk1,-PDGFR等の抗体をwhole mount標本染色に利用できる条件を確立し、この方法を用いて、a)骨髄腔形成時に骨先端部にosteoclastが集まって骨髄腔を形成すること、b)パイエル板形成時先ずCD3陰性IL-7R陽性細胞の集塊が形成され、その後Macl陽性のマクロファージが同じ場所に集まることを明らかにした。この方法により、骨髄やリンパ臓器の最初の発生過程がよりダイナミックに調べられるようになった。 4、c-fmsの機能を阻害する抗体を投与する実験を行い、新生児に大理石病を誘導できることを明らかにした。この結果は、骨髄腔の維持がダイナミックな過程であることを示している。また、BMPによって誘導される骨新生実験系でこの抗体を投与し、予想に反してchondrocyteからhypertrophic chondrocyteへの転換が阻害されることを見いだした。
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