研究概要 |
本研究の目的は,脳電位光量差分三次元画像解析法を用いて,老化促進マウス(モデル動物)の脳内高次神経活動を可視化し,老化過程における神経伝達機構の動態を具体的に明らかにすることである.研究計画の最終年度である平成8年度の研究経過は,以下の3点に集約される.すなわち, 1)ストレス負荷実験の実施と画像解析(斎藤健,高倉) 老化促進マウスとコントロール群を対象として,それぞれストレス負荷群と非負荷群に分け,各群の脳スライスにおける神経伝播過程について画像記録を行った.脳電位光量差分三次元画像解析法は,機器操作が煩雑で習熟に時間を要し,実験過程では高い組織活性を維持したサンプルを確保し,短時間で種々の処理を行わねばならない難点があるが,海馬を中心とした各部位における電気刺激による興奮過程の具体的状況を時間経過に合わせ三次元画像として可視化し,従来の画像装置に比し高画像な画像情報を豊富に提供することが明らかとなった.そのサンプルについては微量元素濃度を測定し,大脳皮質の萎縮が著明なP10群は亜鉛,銅濃度の低下,モリブデン濃度の増加を確認した.なお,ストレス負荷影響は画像解析上は明確ではなく,今後さらに検討が必要と考えられた. 2)老化促進マウスの自発行動量に関する時系列解析(神山,斎藤健) 老化促進マウスとコントロール群について自発行動量,食物摂取量の時系列変動解析を行い,老化促進過程に伴い早期からこれらの指標に影響が出現している状況を確認した. 3)全体のまとめおよび報告書の作成(神山,斎藤和雄) 上記の成績は,本研究の当初の目的はほぼ達成されたことを示す.そこで,得られた知見を抽出し,今後の課題等についても検討を加え研究内容をまとめた.
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