昨年度までに我々は、急性閉塞性腎症(BUO)モデル、シャム手術(SOC)モデルを用いて、糸球体中のinducible nitric oxide synthase(NOS)-1・2・3mRNAの発現について評価した。SOC群では、摂取蛋白が増加するにつれ、NOS-1mRNA・NOS-3mRNAの発現は増強したが、NOS-2mRNAは、摂取蛋白量が変化しても同定されなかった。逆に、BUO群では、摂取蛋白の増加により、NOS-2mRNAの発現は増強したが、NOS-1mRNA・NOS-3mRNAの発現は、SOC群に比し有意に低下していた。従って、高蛋白食では、NOS-2mRNAの発現の増強によりNOが大量に産生され、それによる組織傷害のために腎障害が憎悪することが示唆された。逆に、低蛋白食では、NOS-2mRNAの発現が抑制されることにより、腎障害の進展が予防されるものと考えられた。本年度は、糸球体中のNOS-1・2・3酵素の存在量について検討したが、それらの酵素の存在量を明らかにすることはできなかった。
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