研究課題/領域番号 |
07457103
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高野 健人 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (80126234)
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研究分担者 |
渡辺 雅史 東京医科歯科大学, 医学部, 助手
竹内 幸子 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90251503)
中村 桂子 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00211433)
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キーワード | 下町 / 不健康の集積 / 健康指標 / 都市河川 / 不安定居住 |
研究概要 |
なぜ、東京下町地域に不健康な状態が集積するのか、そのメカニズムを明らかにするために、以下の解析を行った。 (1)全国787市における111の健康関連指標、230の社会経済諸指標の分析を行い、下町地域に特徴的な諸条件を明らかにした。 (2)地域の健康、居住環境条件、労働環境条件、保健医療福祉サービスに関する既存の調査結果を収集し、下町住民の健康と、環境諸条件の特徴を明らかにした。 (3)地理情報システムのマッピングにより、下町地域ならびに山の手・武蔵野地域を含む諸地域の健康水準のビジュアル化を行った。 (4)下町地域を流れる一級河川に注目し、水質の測定を行った。河川流域の人口、都市基盤整備、土地利用、開発状況、緑地利用に関する諸指標を収集し、また現状についての聞き取り調査を行い分析を行った。下町地域における河川の水質環境が、流域の都市化の諸相の影響を受けていることを明らかにした。 (5)下町を含む都市域における居住環境水準、居住条件、住宅条件について、面接聞き取り調査を行った。下町における不安定居住と不健康の集積の関係について分析を行った。 (6)以上を総合して、東京の下町地域での不健康の集積のメカニズムを検討した。その結果、ひとびとの生活様式の変化と、下町とその周辺地域の急速な都市化に伴う環境条件の変化が、下町地域の不健康の集積の要因のひとつであることが示唆された。「生活水準が低ければ健康水準が低くても仕方がない」といった従来までの消極的な考え方を否定し、同様の経済水準にあっても、それを克服する地域レベルの手法を提起できることが示唆された。
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