研究概要 |
トルエン嗜癖者の脳の磁気共鳴映像法(MRI)を用いて経時的に観察し、トルエン吸入によって脳の萎縮と白質脳症が発生することを明らかにした。また、トルエン曝露を受けて働いている労働者にも軽度な白質脳症が発生することを見いだし、MRIがトルエン等の有機溶剤の中枢神経系への影響の機序解明と生物マーカーとして有効であることを示した。また、ヘキサン及びその代謝物(2-ヘキサノン、2,5-ヘキサンジオン、2,5-ジメチルフラン、γ-バレロラクトン)の毒性を培養したシュワン細胞を用いて研究し、2,5-ジメチルフランがシュワン細胞に対してもっとも毒性がつよいことを明らかにした。その結果はヘキサンの末梢神経毒性の原因物質は2,5-ヘキサンジオンと考えられてきたが、2,5-ジメチルフランの関与も考慮する必要性を示した。さらに、有機溶剤等の工業化学物質による神経障害の広がりとその予防対策の重要性を示した。
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