研究概要 |
在宅高齢者の社会活動度および疾病が日常生活動作能力(ADL)におよぼす影響を明らかにすることをねらいとして、滋賀県安土町で90〜92年に実施した健康および生活状況に関する訪問悉皆調査の客体である在宅老人の3年後の追跡調査を93〜95年にかけて実施した。今年度は、最終年度の追跡調査の実施ならびに初回調査データとの結合およびデータのクリーニングを行った。 1)初回調査者1,289名の内、3年後の生存者は1,149名、死亡者は140名で3年間の累積死亡率は10.9%であった。生存者の1,051名(生存者の91.5%)からADLおよび生活状況、健康状態に関する情報を訪問面接により直接本人から得た。追跡調査不能者の内訳は、入院・入所29名、長期不在14名、拒否45名、不在10名であった。死亡者については、死亡日、死因、死亡場所、死亡前のADLや寝たきりの期間、呆け症状の有無、介護負担などについて家族から情報を得た。2)3年後の生存率は、男性では65〜74歳が93%、75〜84歳が78%、85歳以上が56%で、女性では、それぞれ97%、88%、61%と、女性はどの年齢においても男性を上回っていた。3)初回調査時にADLが自立していた者のうち、3年後も自立を維持していた割合(ADL維持率)は基本的ADLでは、男女とも84歳以下では95%と高かったが、85歳以上では、8割程度に低下していた。また、手段的ADLは、加齢による低下が著しく、75〜84歳で8割以下、85歳以上で4割以下と低下していた。4)男性の死因では、ガンと心疾患が29%で最も多く、呼吸器系疾患14%、脳血管疾患12%、女性では、ガン27%、脳血管疾患22%、心疾患16%、老衰12%の順であった。年齢別にみると、ガンは男女とも84歳以下で多く、高年齢群では脳血管疾患、心疾患、呼吸器疾患および老衰が多くみられた。5)男性の30%、女性の56%は自宅死であったが、自宅死は高年齢群ほど多く、また、どの年齢段階においても男性よりも女性の方が自宅死の割合は高かった。
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