研究概要 |
60歳以上の成人双生児185組について総合的健診調査を実施した。また,既に把握している成人双生児2,500組について郵送質問紙調査を実施した。検査項目は血液化学,WAIS成人知能検査,人類学的身体計測,卵性診断,DNAテロメア分析、および生活環境項目である。DNAテロメア分析については老化指標としてのみでなく、発癌およびアポトーシスに関連する重要項目になってきていることから、テロメアーゼ分析についても分析手技の検討を開始した。 精神老化については、血清アポタンパクE濃度とWAIS知能検査得点について分析した。その結果、アルツハイマー型老年痴呆と関連が深いとされる血清アポタンパクEについては,一卵性双生児においてもペア内で血清濃度に大きな差異(級内相関係数0.44)が見られた。このことから環境要因の影響が強いことが示唆された。郵送質問紙調査の対象例のうち、痴呆症状を呈していることが判明したもの11例であった。全例ともペアの片方でのみ痴呆症状がみられた。これらケースについては脳血管性老年痴呆、アルツハイマー型老年痴呆、等の型別ではアルツハイマー型と思われるものであった。
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