研究概要 |
60歳以上の成人双生児185組について総合的健診調査を実施した。またかねてより協力を得ている成人双生児2,500組について、郵送質問紙調査を実施した。検査項目は血液化学、WAIS成人知能検査、人類学的身体計測、卵性診断、DNAテロメア分析、および生活環境要因である。これら調査結果について計量遺伝学の手法を用いた分離比、ロッド解析、ポリジーンモデルへの適応、浸透率等の分析を実施した。また双生児研究法独自のデータ解析手法(級内相関係数、遺伝寄与率、別離年齢別解析等)も実施した。 精神老化の最も強い危険因子として血清アポタンパクE濃度が推定された。血清アポタンパクEについては、一卵性の級内相関係数0.468、二卵性-0.048と算定され、遺伝寄与率は0.468と推定された。血清アポタンパクEとWAIS得点との関連性については、WAIS(符号、数唱、積木問題)得点のうち、符号得点と積木得点で血清アポタンパクEとの有意な関連が認められた。また、ライフスタイル要因との関連では、飲酒量がペア内で多い者、職業がペア内で重労働に就いている者のほうが、有意に血清アポタンパクEが低い傾向が示唆された。MPIテスト得点についてはN軸得点がWAIS符号得点と関連する傾向がみられた。DNAテロメアについては、一卵性ペアにおいて測定値が非常に近似することが判明し、遺伝的コントロールが極めて強いことが示唆された。
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