研究概要 |
o-DCB曝露労働者3人の勤務終了時の尿を収集し、加水分解後、エーテル抽出物をガスクロマトグラフ質量分析計を用いて同定した。その結果、p-DCBの代謝物として、2,3-および3,4-ジクロロフェノール、3,4-および4,5-ジクロロカテコールが同定された。 次に、これらの代謝物の高速液体クロマトグラフによる定量法の検討を行なった。まず、尿の前処理であるが、尿5mlに塩酸1.5mlを加え、100℃で3時間加水分解した後、エーテル2mlで代謝物を抽出し、エーテル層0.5mlを採取しメタノール2mlを加えて検液とした。高速液クロの分析条件としては、カラムはLiChrospher 100RP-18、移動層はジクロロカテコールの測定にはアセトニトリル/酢酸/水(1:12:87)を、ジクロロフェノールの測定にはメタノール/酢酸/水(33:5:62)を用い、検出波長は285nmとした。この条件により、尿中代謝物の分離が可能であることがわかった。 さらに、この条件での代謝物の定量性の検討を行なった。標準を水に溶かして標準液とし、検体と同様の処理(100℃での加水分解を除く)を行って検量線を作成したが、10〜100mg/lの範囲で直線性が確認された。次に、ブランク尿に標準を添加して、各代謝物が9〜40mg/lの尿試料を作成し回収率を検討した。平均回収率は、3,4-ジクロロカテコール、4,5-ジクロロカテコール、2,3-ジクロロフェノールおよび3,4-ジクロロフェノールの順に96.6〜105%(CV=0.7〜6.3%)、94.4〜103%(CV=1.7〜7.7%)、93.6〜97.3%(CV=3.3〜8.6%)および92.9〜99.0%(CV=2.3〜7.7%)と良好な結果が得られた。 現在、o-DCB曝露労働者の曝露濃度と尿中代謝物量の関係を明らかにすべく調査を実施中である。
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