研究課題/領域番号 |
07457119
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
柏村 征一 福岡大学, 医学部, 教授 (70004710)
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研究分担者 |
原 健二 福岡大学, 医学部, 助手 (00090738)
影浦 光義 福岡大学, 医学部, 教授 (40037594)
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キーワード | 慢性疾患 / 毛髪 / 薬物 / ガスクロマトグラフィー / 質量分析法 / 治療歴 / 乱用歴 |
研究概要 |
慢性疾患などの恒常的に薬剤を服用している人の毛髪から薬剤を検出することで、この毛髪の主の疾病の推定が可能であることから、本研究を計画した。平成8年度まで、テオフィリン、カフェイン、メタンフェタミンなどを分析する基礎的研究を行ってきた。本年度は、これらの分析法を基に、ヒト毛髪の分析データを収集してきた。特に、本研究において開発した毛髪中メタンフェタミンのガスクロマトグラフィー・質量分析法では、極めて微量を証明できる成績を得、血液・尿の分析からは全く検出されなかった剖検例でも、メタンフェタミンを証明できたものもあり、これまでは無視されていた長期薬物乱用歴を確認できる手段となり、本方法による分析は捜査あるいは法医診断上の資料として必要になると考える。また、この覚せい剤の分析法により、覚せい剤以外に、精神分裂病治療中の患者の毛髪からプロメタジンの代謝物、カルバマゼピンの代謝物を、2剖検例からアセトアミノフェンを明確に検出した。これらの化合物の分析感度は高く、いずれも単位長さ当たりでの毛髪中濃度分布を観察できた。これらの薬物は外部からの汚染でも観察されるので、代謝物ならびに分布を観察することは法科学分野では重要である。また、毛髪中には内因性物質も含まれており、今期開発した方法ではチラミンを検出した。少数例ではあるが、チラミンは興奮作用があり、その毛髪中分布を観ることで、薬物同様に慢性疾患の経過を観察ができるのではないかと示唆する知見を得た。本研究において、従来に比較して極めて微量の試料で毛髪中化学物質の分布がわかり、数ヶ月から年の単位で薬物治療歴・疾患の状況などを観察できる可能性を得た。
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