研究課題/領域番号 |
07457120
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
田中 宣幸 産業医科大学, 医学部, 教授 (60126597)
|
研究分担者 |
笠井 謙多郎 産業医科大学, 医学部, 助手 (40169397)
田中 敏子 産業医科大学, 医学部, 講師 (80141745)
北 敏郎 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00131912)
|
キーワード | 外傷性脳浮腫 / MRI / 脳血管関門(BBB) |
研究概要 |
当初の目的である挫傷脳モデルを、fluid percussion装置を用いラットに発生させることができた。すなわち、脳に最大陽圧1,000mmHg、最大陰圧160mmHgの圧力で衝撃を与えることにより、挫傷が衝撃部位に発生しているのが組織学的に確認された。 脳浮腫(腫脹)の経時的観察:動物用MR装置により衝撃直後から観察したところ、衝撃後24時間以内では軽度の脳浮腫が衝撃部位で認められ、1日後から衝撃部位を中心に海馬および傍矢状部で著名な浮腫が生じ、2日後までその浮腫が広がり衝撃3日後から浮腫の修復像が観察された。またMRIの拡散強調画像による拡散係数(ADC)を計測したところ、衝撃部位では対照部位に比較してADCが高く、その浮腫がvasogenicなものであり、衝撃部周辺ではADCが低くcytotoxicな要素が強いことが推測された。この結果から、脳浮腫の発生が1日以上経過すると顕著に生じ、二次性の脳血管関門(BBB)の破綻が脳浮腫の発生と関連がある可能性が考えられた。 脳血管関門(BBB)障害部位の検討:HRPを用いた光顕によるトレーサー実験で、衝撃15分後に衝撃部位に一次性(直接的な)のトレーサーの漏出が認められ、海馬および視床においても漏出が認められた。30分後では衝撃部位を除いてトレーサーの漏出が認められなくなった。衝撃1時間後では衝撃部位でのトレーサーの漏出は認められたほか、新たに二次性(遅発性)の漏出と考えられるものが傍矢状部皮質において認められた。3時間後では衝撃部位でのトレーサーの漏出も顕著ではなくなり、傍矢状部皮質における漏出も認められなくなった。次に、トレーサーとして塩化ランタンを用い電顕による観察では、衝撃1時間後で二次性の漏出と考えられるトレーサーの漏出が傍矢状部皮質のほかに海馬領域でも認められた。それ以外は光顕と同様の結果であった。
|