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1996 年度 実績報告書

外傷性脳浮腫および脳腫脹におけるケミカル・メディエーターの役割

研究課題

研究課題/領域番号 07457120
研究機関産業医科大学

研究代表者

田中 宣幸  産業医科大学, 医学部, 教授 (60126597)

研究分担者 笠井 謙多郎  産業医科大学, 医学部, 助手 (40169397)
田中 敏子  産業医科大学, 医学部, 講師 (80141745)
北 敏郎  産業医科大学, 医学部, 助教授 (00131912)
キーワード外傷性脳浮腫 / Fluid percussion / MRI / ケミカル・メディエーター / ロイコトリエン(LT) / 腫瘍壊死因子(TNFα) / 血液脳関門(BBB)
研究概要

前年度の成果を踏まえ、同種動物および同じ装置を用い脳浮腫発生におけるケミカル・メディエーターの役割を検討した。
脳脊髄液中の腫瘍壊死因子(TNFα)の濃度は、衝撃1時間後では軽度に3および6時間後にさらに上昇し、24時間後には減少した。その局在の検討を行ったところ、30分後に衝撃部で集積したミクログリアにTNFの局在が認められた。1時間後では海馬および傍矢状部で集積したグリア系細胞にTNFの局在が認められた。このことから、直接的な衝撃部から離れた部位に遅発性に生じた血管障害は、脳組織におけるグリア系細胞から産生されたTNFが関与した可能性が考えられた。
さらにロイコトリエン(LT)の局在を検討した。6時間後では衝撃部および海馬領域のグリア系細胞からLTの産生が認められた。24時間後では衝撃部および海馬領域ともに高度の浮腫が認められ、血管に血小板血栓が、グリア系細胞以外にも炎症性細胞とくに好中球の侵入が観察され、さらに侵入した好中球からもLT産生を示唆する像が認められた。これら炎症性細胞でのLTの産生は、衝撃初期にTNFによりもたらされた血液脳関門(BBB)障害や24時間後に観察された血小板血栓などによって生じた脳虚血が原因であると考えられた。48時間後ではマクロファージが障害をうけた神経細胞や神経繊維などを貧食している修復像が観察された。
これらの結果から、衝撃6時間後をピークとして24時間以内にTNFを主体としたメディエーターがBBBの破綻をもたらすというvasogenicな要素が強く、その要素が時間の経過とともに徐々に緩解し、衝撃24時間後からグリア系細胞および炎症性細胞由来のLTがcytotoxicな要素として脳浮腫発生に関与していくと考えられた。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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