研究課題/領域番号 |
07457124
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
柳澤 信夫 信州大学, 医学部, 教授 (00010025)
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研究分担者 |
松波 英寿 信州大学, 医学部, 助手 (40219457)
川崎 誠治 信州大学, 医学部, 教授 (80177667)
池田 修一 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (60135134)
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キーワード | 代謝異常症 / 臓器移植 / アミロイドーシス / 肝移植 |
研究概要 |
本年度は過去2年間に生体部分肝移植を行った2名(患者1、2)の家族性アミロイドーシス(FAP)患者の術後の経過観察に加えて、新たに3名(患者3-5)のFAP患者に同移植手術を施行した。具体的には患者3は経過10年・46歳女性、患者4は経過4年・43歳男性、患者5は経過6カ月の40歳であり、それぞれのドナーは患者3が夫、患者4が姉、患者5が夫であった。レシピエントに植え込まれた移植肝の大きさ(graft volume/standard liver volume)は最低が患者2の34%、最高が患者5の58%であり、これらの結果から成人間の生体部分肝移植では少なくとも標準肝容量の約三分の一の肝臓が埋め込まれれば、レシピエントは生存可能であることが判明した。また、患者4では身長173cm,体重56kgの男性レシピエントに身長155cm,体重54kgの女性ドナーから移植がなされ、従来生体部分肝移植では不可能であった体格の小さい人から大きい人への移植が可能となった。一方、これら5名の短期的術後経過の観察では、FAP発病後5年以内の患者1、4、5は手術後早期から自律神経症状を中心に改善を示しているが、5年以上の患者2は移植後も症状は進行し、さらに罹病期間が最も長い患者3は術後3か月で多臓器不全のため死亡した。従ってFAPのような全身臓器の障害を伴う代謝疾患の肝移植の適応を検討する際には、罹病期間、全身の栄養状態等を含めた予後決定因子を十分検討する必要があると考えられた。
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