研究課題/領域番号 |
07457142
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
戸田 剛太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40090500)
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研究分担者 |
石川 智久 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10260944)
高橋 宏樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80256403)
相沢 良夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90147273)
銭谷 幹男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (70138767)
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キーワード | 自己免疫性肝炎 / 類洞内皮細胞 / 内皮細胞 / 自己抗体 / 内皮細胞抗体 |
研究概要 |
ラット肝よりKnnokらの方法に準じて類洞内皮細胞を分離し、18時間培養後、グルタルアルデヒド固定し、類洞内皮細胞抗体の検出に用いた。抗体検出はRosenbaumらの方法に従い、ELISA法により行なった。すなわち、血清は250倍希釈後、上記処理類洞内皮細胞とインキュベートし、結合した抗体はperoxidase標識プロテインAを用いて検出した。自己免疫性肝炎患者の97.1%に本抗体が検出された。一方、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎、原発性胆汁性肝硬変患者における本抗体陽性率はそれぞれ7.9、5.9、13.0%に過ぎなかった。本抗体陽性患者、正常者血清よりIgGを分離後、ペプシン消化によりF(ab′)_2を分離し、peroxidase標識F(ab′)_2抗体を用いて類洞内皮細胞との反応性を検討したところ、患者血清由来のF(ab′)_2は正常者血清由来のF(ab′)_2より有意に高い反応を示した。本抗体の内皮細胞特異性をみるために、患者、正常者血清由来のF(ab′)_2とラット肝細胞(RH)、ウシ頸動脈内皮細胞(CEC)、ラット由来の培養細胞株NRK,NRK-49F,LYM-1,dRLh84との反応性を検討した。これらの細胞のうち正常者由来のF(ab′)_2と比較して患者血清由来のF(ab′)_2がより高い反応性を示したのはCEC、dRLh84細胞であった。また、患者血清由来のF(ab′)_2をCECで吸収するとラット類洞内皮細胞との反応性は消失したが、RH、dRLh84による吸収では消失しなかった。したがって、本抗体は内皮細胞特異的エピトープを認識していると推測された。また、類洞内皮細胞を患者由来のIgGの存在下で培養するとプレート結合内皮細胞は有意に減少し、本抗体は類洞内皮細胞障害性と考えられた。以上、自己免疫性肝炎患者血清中には内皮細胞と反応するIgGクラスの抗体が存在し、しかも本抗体は内皮細胞障害性であり、自己免疫性肝炎における肝細胞障害の発現に関わっていると考えられた。
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