研究課題
1)血漿中ピペコリン酸(PA)、D、L体の測定肝性脳症及び肝硬変患者では慢性肝炎、正常者に比して血漿中総ピペコリン酸上昇だけでなく、D体もL体とともに増加した。正常人ではL体がD体より多いが、肝性脳症時は、L体よりもD体の増加が顕著で、カナマイシン投与では増加したPAの中でL体よりもD体の低下が著明であった。従ってL体を含めた総PA濃度に他に、腸内細菌によるPAD体の増加が特に脳症発症と関連するもと思われた。2)脳に対するPAの直接作用PA(L体、D体)をラットの脳室内に直接注入すると、このラットの脳波に徐波が出現した。D体とL体では作用の強さに差は認められなかった。以上、L-PAはヒト体内組織のみならず腸内で細菌により産生される。D-PAは恐らくD-リシンから腸内細菌によってのみ産生される。従って、健常人では血漿PA濃度はD-PAよりL-PAが高いと判断される。勿論ヒト体内ではPAよりサッカロピンが主たる代謝産物であり、PAによるPAの代謝に異常がおこるとき、腸内でのPA産生特にD-PA産生が血漿や脳脊髄液中のPA濃度の中で比重を増してくるものと思われる。
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