研究概要 |
1.イオンチャネル病(Lambert-Eaton筋無力症候群) (1).電位依存性カルシウムチャネルとともに,神経終末からのアセチルコリン遊離過程に必須の蛋白質シナプトタグミンについて,シナプス小胞開口時に膜外に露呈する領域(残基番号1-52)のペプチドを合成した。(2).遺伝子操作により大腸菌にdilution mutantsのリコンビナント・シナプトタグミンを発想させた。(3).シナプス膜蛋白質でマウスを免疫し,オメガコノトキシン受容体と反応する抗体を産生するハイブリドーマを樹立・シナプトタグミン・モノクロナール抗体を得た。(4).(1)で合成したペプチドでラットを免疫し,抗ペプチド抗体価上昇,(2)(3)を用いた免疫電気泳動による抗シナプトタグミン抗体陽性,電気生理学(細胞内電極法)で,アセチルコリン量子性遊離量低下と外液カルシウム濃度上昇によるその異常上昇を確認して,本病の疾患モデル作出に成功,シナプトタグミンの病原的役割を評価した。(5).(2)と(3)を用いた免疫電気泳動で,本病患者20例の血清を検定し,6例(30%)に抗シナプトタグミン抗体を証明,うち3例(15%)は抗カルシウムチャネル抗体(P/Q型,N型)は陰性であり,チャネルばかりでなく,シナプス小胞膜蛋白の,本病病態成立上の重要性を示唆した。 2.レセプター病(重症筋無力症) (1).骨格筋から抽出したリアノジン受容体分画と,本病患者血清との反応を,抗リアノジン受容体モノクローナル抗体を指標として,免疫電気泳動で検定した。(2).本病40例の血清中,抗リアノジン受容体抗体の存在を証明したのは18例(45%)であった。(3).胸腺腫合併の本病18例中,15例(83%)が抗リアノジン受容体陽性を示し,本抗体発現と胸腺腫合併に有意な関係が示唆された。
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