研究概要 |
モルモット髄鞘塩基性蛋白(GPMBP)でSJL/Jマウスを感作し,実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を作成することに成功した。GPMBP感作時に接着分子に対する抗体である抗intercellular asdhesion molecule 1(ICAM-1)抗体または抗leukocyte function associated antigen 1(LFA-1)抗体あるいは両者を投与することにより臨床的にも,組織学的にもEAEが抑制できた.これらは抗接着分子抗体が補助シグナルをブロックすることにより,アナ-ジ-が成立し,GPMBP抗原特異的免疫寛容が誘導された結果であることが考えられる.抑制効果は抗ICAM-1抗体と抗LFA-1抗体の両者を投与した場合により顕著に現れた.EAEマウスではinterferon γ.(IFN-γ)産生細胞が多く,MBP抗原特異的免疫寛容誘導マウスではIL-4産生細胞がより多い傾向にあり,発症にはTh1細胞が,抑制にはTh2細胞が関与している可能性が示唆された.また我々はTheiler′s murine encephalomyelitis virus(TMEV)をSJL/Jマウスの脳に接種し,免疫性脱髄性脳脊髄炎(TMEV-IDD)を作成することにも成功した.さらにTMEV接種時に抗ICAM-1抗体と抗LFA-1抗体の両者を投与することによりTMEV-IDDが抑制されることが明かとなった.これらはやはり,抗接着分子抗体が補助シグナルをブロックすることによりアナ-ジ-が成立し,TMEV抗原特異的免疫寛容が誘導された結果であることが考えられる.抑制効果は抗ICAM-1抗体と抗LFA-1抗体の両者を投与した場合により顕著に現れた.TMEV-IDDはより多発性硬化症に近い動物モデルであり,細胞性免疫が本症の発症にも重要な役割を担っていることが明かとなり,今後その詳細を探求していく予定である.
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