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1997 年度 実績報告書

アポリポ蛋白E遺伝子型とアルツハイマー病病理所見との対比:連続剖検脳での検討

研究課題

研究課題/領域番号 07457158
研究機関自治医科大学

研究代表者

植木 彰  自治医科大学, 医学部, 助教授 (90112622)

研究分担者 水谷 俊雄  東京都老人総合研究所, 神経病理部, 部長 (40124416)
大塚 美恵子  自治医科大学, 医学部, 講師 (30194210)
キーワードアルツハイマー病 / アポリポ蛋白E / ε-4遺伝子型 / 危険因子
研究概要

目的)アポ蛋白E(apoE)-ε4 alleleはアルツハイマー病(AD)の危険因子である.我々ホリマリン固定脳切片よりDNAを抽出し,ADおよび対照のapoE遺伝子頻度を求め,apoE-ε4の疾患特異性を検討してきた.本年度は検討症例数を増やしながら,ADのapoE遺伝子型と発症年齢との関係,超高齢健常者のapoE遺伝子型の特徴,およびε4のAD発症作用を修飾するとされているα1アンチキモトリプシン(ACT)シグナルペプチド遺伝子多型をも検討した.ACTシグナルペプチドの3つの遺伝子型(AA,AT,TT)のうちAAがε4と相乗的に働く危険因子との報告がある.
方法)対象はAD15例(41-90y,o.),対照49例(66-93y.o.).ホルマリン固定の脳切片よりDNAを抽出し,PCRでDNAを増幅後,apoE遺伝子型(制限酵素Hha I)およびACTシグナルペプチド多型(制限酵素MvaI)を決定した.
結果)で,このうち49例(76.5%)でPCR産物が増幅された.対照ではε4/3,ε3/3,ε3/2が各2(5.3%),30(78.9%),6(15.8%)であったが,ADでは各々4(36.4%),7(63.6%),0(0%)とADではε4/3の比率が高かった.対照のうち80歳以上の高齢者18人ではε4/3,ε3/3,ε3/2が各々4(22.2%),12(66.7%),2(11.1%)であり,高齢者ではε3/2の比率が高かったがε4を保有する90歳代の健常者が2人見つかった.ADの発症年齢との関係ではε4保有者では69.7±5.4歳,ε4非保有者では67.2±10.3歳でε4の発症年齢若年化作用は認められなかった.ACTの遺伝子型はADではAA2(15.4%),AT6(46.2%),TT5(38.4%),対照ではAA6(15.4%),AT16(41.0%),TT17(43.6%)で両群間に差はなかった.
考察)ADではε4/3の比率が高かった点はこれまでの報告と一致している.しかし,90歳代の超高齢健常者でもε4保有者が見いだされた点はε4がAD発症の十分条件ではないことを示しており,他の遺伝・環境因子の関与が考えられる.このうち,遺伝因子の中ではACTの遺伝子多型が有力とされていたが,今回の結果はこれを支持しなかった.ε4の発症年齢若年化作用についてはε4非保有者の発症年齢の方がむしろ若い結果となっており.今後さらに多くの症例での検討を要する.ε2のAD発症防御作用に関してはこれまでの結果を支持するものであった.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Endoh M: "Alpha-1-antichymotrypsin is not associated with the increased frequency of apolipoprotein-E-epsilon-4 allele in elderly non-demented leprosy patients." Dementia. 9. 26-28 (1998)

  • [文献書誌] 松村慎一: "群馬県山間地域における健常高齢者のアポリポ蛋白E遺伝子頻度およびアポリポ蛋白E受容体結合蛋白の検討." 日老医誌. 34. 196-201 (1997)

  • [文献書誌] 植木 彰: "特集:アルツハイマー病-Up to Date-;2.遺伝性アルツハイマー病-最近の進歩-;c.第19染色体とアポリポ蛋白E4." Geriatric Medicine. 35. 25-31 (1997)

  • [文献書誌] 植木 彰: "アポリポ蛋白Eの臨床的意義、特集「アポリポタンパクEと老年期痴呆」" 老年精神医学雑誌. 8. 1056-1061 (1997)

  • [文献書誌] 大塚美恵子: "血管性痴呆と食行動-危険因子から見て." 臨床栄養. 91. 710-714 (1997)

  • [文献書誌] 植木 彰: "アルツハイマー病の遺伝子診療.KYORIN-Symposia〈遺伝子診療の進歩〉" ドクターサロン 増刊号 下. 11. 359-364 (1997)

  • [文献書誌] 植木 彰: "老人性痴呆.金澤康徳監修『60歳からの健康づくり』" (財)地方公務員等ライフプラン協会 東京, 148 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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