研究課題/領域番号 |
07457159
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
山村 隆 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (90231670)
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研究分担者 |
国下 龍英 国立精神, 神経センター・神経研究所, 室長 (40167383)
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キーワード | 多発性硬化症 / T細胞レセプター / T細胞抗原受容体 / 自己免疫病 / ミエリン塩基性タンパク / プロテオリピッド / T細胞クローン / SSCP法 |
研究概要 |
本年度は脳炎惹起性T細胞クローンの抗原認識の詳細な解析とヒトT細胞レパトアのSSCP法による解析法の確立に精力を注いだ。前者についてはミエリン塩基性蛋白(MBP)特異的なSJLマウス由来の脳炎惹起性クローンが、MBPのみならず他の脳炎惹起蛋白(PLPやMOG)にも反応することをはじめて明らかにできた(論文準備中)。さらにMBPおよびPLPの各残基をアラニンに置換した28種類のアナログ・ペプチドを合成し、抗原の交叉反応性に決定的な残基を明らかにした。一連の解析から、これまで同定された脳炎惹起性ペプチドがそれぞれ構造的に類似していることが示唆され、脳炎惹起性T細胞の抗原受容体CDR3部位が互いにホモロジーを持つという事実にみごとに対応していることがわかった。後者については、多発性硬化症の剖検脳からmRNAを調製しRT-PCR-SSCP法 をおこなったところ、病変部位にかなり限られたクローンの浸潤がみられること、特定のVベータ鎖の優先使用はないことを明らかにした。この結果はVベータ特異的な抗体による治療の不可能なことを意味するが、一方ではVベータ以外の適切な標的(CDR3?)を選べば特異的な治療が開発できる可能性を示した。現在病変で増殖しているT細胞クローン、末梢血で増殖しているクローン、髄液に存在するクローン、それぞれについてSSCP法によるレパトア解析、およびCDR3塩基配列の決定を行っているところである。一方では多発性硬化症患者の末梢血からPLP特異的クローンを樹立する試みも続けている。来年度の目標は病変由来のT細胞抗原受容体をマウスのT細胞に発現させ抗原認識機構を詳細に解析することで、予備実験を開始したところである。
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