研究概要 |
平成7年度は主として血液幹細胞への高効率遺伝子導入法について検討を行った。慢性肉芽腫症の遺伝子治療においては血液幹細胞を標的細胞とするため、レトロウイルスベクターを用いた高効率の遺伝子導入法の開発が必要である。そこで我々は臍帯血から抗CD34抗体coating plateにより分取した幹細胞にLASNベクターを用いて遺伝子導入を行う方法で、効率の向上について検討してきた。現在、ベクターの感染をフィブロネクチンをコーティングしたプレート上で行うプロトコールを採用し、血液前駆細胞への高効率を遺伝子導入を確認している。今後、さらに至適条件を検討し下記gp91-phox発現ベクターを用いて血液幹細胞への遺伝子導入を行う予定である。 ベクターとしてはレトロウイルスベクターMFGの改良型であるMFG-Sを使用することとし、現在R.Mulligan博士に使用の承諾を依頼中である。慢性肉芽腫症の原因遺伝子の一つであるgp91-phox cDNAはすでに入手してあるので、MFG-Sが使用可能になり次第gp91-phox発現レトロウイルスベクターの構築を行う。その後、すでに樹立した慢性肉芽腫症患児由来のEBV感染B細胞株を標的細胞として遺伝子導入を行い、今回購入したマイクロプレートルミノメーター(Microlumat LB96P,BERTHOLD社製)により活性酸素産生能を測定することで、欠失した機能の再構築を確認する予定である。
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