研究課題/領域番号 |
07457183
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
工藤 純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80178003)
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研究分担者 |
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
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キーワード | 21番染色体 / ダウン症候群 / エキソントラッピング / SIM / minibrain / MNB / Dyrk / セリン / スレオニンキナーゼ |
研究概要 |
我々はダウン症の原因となる遺伝子を同定するために21q22.1-q22.2のダウン症関連領域(DSCR)からエキソントラッピング法によって155種類のエキソンを単離した。さらにSIM2(ショウジョウバエのsingle-minded(sim)遺伝子のヒト型遺伝子)、HCS、TPRD、MNB(ショウジョウバエのminibrain(mnb)遺伝子のヒト型遺伝子)、GIRK2、ERG各遺伝子のエキソンを含む95個のエキソンをDSCRのEcoRI制限地図上に位置付けた。ショウジョウバエのmnb遺伝子はセリン/スレオニンキナーゼをコードしているが、mnb遺伝子をホモ接合で欠損した突然変異株では脳の一部が小さくなることが報告されている。ヒト胎児脳cDNAライブラリーから単離したMNBcDNAの塩基配列の解析から、ヒトMNB蛋白質もショウジョウバエのmnb蛋白質と同様に核移行シグナルを持つプロテインキナーゼであることが明らかとなった。321アミノ酸残基からなる触媒ドメインはショウジョウバエのmnb蛋白質と84%の相同性を示した。最近報告されたラットのDyrk(Dual-specificity Yakl-related kinase)プロテインキナーゼはヒトMNB蛋白質とほぼ同一(99.5%のアミノ酸が一致)の構造を持ち、セリン/スレオニンの他チロシンもリン酸化する活性を持っている。MNB遺伝子のmRNAの発現は、胎児脳を含め調べたすべての臓器・組織で認められた。MNBプロテインキナーゼは核内で細胞分裂を調節する機能を持つことが予想されるが、ショウジョウバエの突然変異株の表現型から、ダウン症の精神遅滞との関連が示唆される。またSIM2遺伝子全体を含むBACクローンの全塩基配列(136kb)の解析からヒトSIM2遺伝子の全構造を解明した。
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