小児科受信下痢便からロタウイルス、アデノウイルスはラテックス凝集法、酵素抗体法を用いて診断と血清型を決定できるようになり、本年度も全国レベルで継続した。ロタウイルスはI型が主流で、地区によっては他の型が僅かにあった。血清型が決められなかった株ではRT-PCRを行いI型のみが見いだされた。アストロウイルスとノ-ウォーク関連ウイルスはRT-PCRによって診断と血清型(亜群)別が可能となった。また遺伝子解析も行った。アストロウイルスは1、3型が多く、ノ-ウォーク関連ウイルスはスノーマウンテン亜群が多かった。特に、1995年末の冬期に日本全国でノ-ウォーク関連ウイルスが一般外来で見いだされたが遺伝子解析では種々で、流行様式の解明は難しいと思われた。またプライマーも数種類が必要な状態で今後の検討課題であった。 アストロウイルスは1型が頻度としては多い。1型を培養し、抗体を作製し、ラテックス凝集試薬を作ることができた。パネルウイルスと反応させたところ1、3、6型で凝集を示した。2、3、5型とは反応しなかった。今後2型に対する抗体を作ることにより恐らくすべての型に利用可能なラテックス試薬が開発できると思われる。 アストロウイルス、ノ-ウォーク関連ウイルスでもロタウイルスと同様に無熱性痙攣が見いだされた。またレイウス症状を強く示す症例があった。最近、小型球形ウイルスによる食中毒は問題となっており、これらのウイルスに対する診断法の開発が急務である。
|