研究概要 |
リンパ節細胞が産生するランゲルハンス細胞遊走因子の産生機構を解析するためボイデンチェンバ法-を用いてマウスLCの感作リンパ節細胞培養上清中の遊走因子を解析してきた。その結果、TNCBでマウス経皮感作後24時間目のリンパ節上清中に最も多く含まれていること、HPLCによる解析で上清中のLCのケモアトラクタントは分子量が45-68Kdであり抗TNF-α抗体、抗GM-CSF抗体で活性を阻止できないことが判った。また、ICAM-1,LFA-1にたいするモノクローナル抗体で一部の活性が抑制された。さらに、このLC遊走因子を解析するためより簡便な遊走能を測定する方法を得るため、ボイデンチェンバーを通過した細胞を位相差顕微鏡で観察したところ形態学的に樹状な細胞の93%以上がIa陽性のLCであることが証明された。ボイデンチェンバーを通過するLCを光学顕微鏡で観察する簡便な方法で現在リンパ節細胞培養上清中のマウスLC遊走因子を解析中である。、LCは表皮由来のGM-CSF,TNF-αなどのサイトカインにより遊走が誘導されるだけでなくTh1,Th2などの浸潤Tリンパ球由来のサイトカインの調節設ける可能性がある。そこでヒトランゲルハンス細胞の遊走能をTh1,Th2タイプのサイトカインを用いてボイデンチェンバー法で解析した。GM-CSF,TNF-αは明らかにLCのケモアトラクタントとして作用することが判った。IFN-γ,IL-2,IL-10はLCの遊走能に関しては何ら影響を与えなかった。しかし,IL-4は明らかにLCの遊走能を抑制することが認められた。この抑制はIL-4に対するモノクローナル抗体で抑制されIL-4が10-100ng/mlの濃度で最も強く作用した。また、IL-4はLCのランダムミグレーションのみならずGM-CSF,TNF-αへの遊走も抑制した。最近、IL-4はIL-10とともに接触アレルギーを抑制することが知られているがそのメカニズムの一つがLCのリンパ節への遊走を抑制するためである可能性が示唆された。現在このIL-4によるLCの遊走能抑制のメカニズムを解析中である。
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