研究概要 |
(1)感作リンパ節由来のLC遊走因子の検出 リンパ節細胞が産生するランゲルハンス細胞遊走因子の産生機構を解析するためボイデンチェンバ変法・を用いてマウスLCの感作リンパ節細胞培養上清中の遊走因子を解析してきた。その結果、TNCBでマウス経皮感作24時間後のリンパ節上清中にその因子が最も多く含まれていること、HPLCによる解析で上清中のLCの遊走因子は分子量が45-68Kdであり抗TNF-α抗体、抗GM-CSF抗体でそのLCの遊走活性を阻止できないことが判った。以上のことよりリンパ節細胞由来の分子量が45-68KdのTNF-αや、GM-CFS以外のサイトカインが表皮からリンパ節に誘導する可能性が示唆された。 (2)マウスLC遊走能を経時的に位相差顕微鏡にて検討 さらに、このLCの遊走因子を解析するためより簡便な遊走能を測定する方法を得るため、ボイデンチェンバーを通過した細胞を位相差顕微鏡で観察したところ形態学的に樹状な細胞の93%以上がla陽性のLCであることが証明された。ボイデンチェンバーを通過するLCを光学顕微鏡で観察する簡便な方法で現在リンパ節細胞培養上清中のマウスLC遊走因子を解析した。その結果、TNF-α,RANTES,MCP-1がLCに対して強い遊走活性があることが明らかにされた。つまり、感作リンパ節由来のLCの遊走活性のある蛋白がコレラのサイトカインのどれかである可能性が示唆された。 (3)ヒトLCの遊走抑制因子の検討 ヒトランゲルハンス細胞の遊走能をTh1,Th2タイプのサイトカインとともに培養して、ボイデンチェンバー変法でLCの遊走能の調節機構を解析した。GM-CSF,TNF-αは明らかにLCの遊走誘導因子として作用することが判った。一方、IL-4は明らかにLCの結う雄能を抑制することが認められた。この抑制はIL-4に対するモノク-ロナル抗体で抑制されIL-4が10・100ng/mlの濃度で最も強く作用したまた、IL-4はLCのランダムミグレーションのみならずGM-CSF,TNF-αへの遊走も抑制した。さらにこのIL-4によるLCの遊走能抑制のメカニズムを解析中するためにLC上の各種の接着分子、TNF-α receptorの発現レベルをFACSで解析した。その結果、IL-4は、LC上のICAM-1,LFA-3の発現レベルを抑制しTNF-α receptor-IIの発現も抑制することが判った。
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