現在までにアトピー性皮膚炎(AD)患者において、1)血中のIL-4、IL-5濃度の測定と臨床的意義、2)AD患者の末梢血単核球のサイトカインプロファイル(flow cytometryによる解析)、3)AD皮膚病変部でのサイトカインプロファイル、4)成人型AD患者におけるアウトグローと血中アレルギーマーカーの推移 について検討した。その結果、AD患者の病変部、血中共に単核球レベルでは、Th2優位であるが、血中のIL-4、IL-5濃度は有用なマーカーとはなり得ないこと、成人型AD患者においてもアウトグローすると、血中アレルギーマーカーは急速に低下することなどを明らかにしてきたが(論文執筆中)、9年度は血中アレルギーマーカーのうち、どのようなマーカーがAD患者のどのような臨床的病態を反映するものか詳細に検討しようと考えた。AD患者及び他の皮膚疾患患者の臨床症状をモニターすると共に、経時的に血清を採取し、lgE、ECP、IL-4、IL-5、sCD14、sELAM-1、及び好酸球数を測定し、重症度別ならびに経時的な解析を加えた結果、ECPはAD患者において有意に増加し、sELAM-1はAD患者のみならず他の湿疹患者においても有意に増加し病勢を反映することが分かった。IL-4、lL5、sCD14では有意な上昇は認められなかった。 また最近CC chemokineの炎症における役割が注目されてきているので、その受容体の1つであるCCR3の発現を培養表皮細胞、健常皮膚及び様々な炎症性皮膚疾患で検討したところ、表皮細胞はCCR3を発現しており、炎症状態でその発現は亢進されることが初めて明らかにした。現在その調節機序を検討中であり、併せて論文発表したい。 樹状細胞における発現も検討したが、明らかな発現はdetectできなかった。
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