研究課題/領域番号 |
07457193
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
溝口 昌子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30010250)
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研究分担者 |
山本 一彦 九州大学, 生体防御医学研究所・臨床免疫学, 教授 (80191394)
高浜 英人 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (90267633)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / T細胞クロナリティー / RT-PCR / SSCP |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎(AD)の皮疹の組織学的特徴はT細胞を主体とする単核球浸潤である。このT細胞浸潤は何らかの抗原に反応して増殖している可能性が考えられる。我々はRT-PCR/SSCP法を用いて、患者皮膚に抗原特異的T細胞の集積がみられるか否かにつき検討したので報告する。〔方法〕治療前のAD患者に病変部2カ所の皮膚生検を施行、また同患者の末梢血を採取し定法により単核球を分離した。得られた皮膚組織、単核球からmRNAを抽出、cDNAに変換した後、ファミリー特異的Vβプライマーを用いたRT-PCR/SSCP法によりT細胞レセプターβ鎖のCDR3領域を解析、病変皮膚と末梢血のT細胞クロナリティーにつき検討した。〔結果〕RT-PCRの結果、全てのVβにおいてPCR産物が検出されたことから、病変部のT細胞レセプターβ鎖について全てのVβファミリーをもつT細胞が集積していることがわかった。このPCR産物をSSCPにより検討すると、病変皮膚には各Vβにつき数本ないし十数本のバンドが認められ、T細胞が病変部にオリゴクローナルに集積していることが判明した。さらに病変部の2カ所でそれぞれ認められたバンドのパターンを比較すると、これらのバンドのうち10〜20本が2カ所の皮膚に共通して認められ、異なる2カ所の病変部に共通するT細胞クローンが存在することがわかった。一方、末梢血の解析結果はほぼスメアパターンとなり、わずかに認めるバンドも皮膚と共通のものはなかったことから、皮膚にみられた共通のT細胞クローンは末梢血中には存在しないものと考えられた。〔結語〕この結果は、AD患者の病変皮膚において、特異抗原により刺激された抗原特異的T細胞がオリゴクローナルに、かつ皮膚の異なる場所に共通性をもって、集積していることを示唆している。
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