本年度は物体をオクトツリーで表現するためのプログラムを作成し、このプログラムで記述された物体とオリジナルの物体が同一になるかどうかを幾何学的なモデルによってチェックした。また、X線CT画像であるいは核磁気共鳴CT画像から輪郭抽出を行い、この抽出された画像に対してオクトツリーで表現を行なった。そして、オクトツリー表現によって単位立方体数が、これを用いない場合に比してどの程度減少するかを調査した。この結果、オクトツリー構造を用いることによって半径10cmの円柱状のファントムは、0.5cm×0.5cm×0.5cmのvoxelを最小単位とする10927個の様々な大きさのvoxelで表現することができた。これは、ファントム全体を最小の単位voxelで表現した場合の24.7%であり、この場合には、最もよい効率で計算できたとしてoctreeを使ったシミュレーションは使わないシミュレーションよりも4倍はやく計算が終了することを意味している。さらに、複雑な脳の形状(X線CT画像)を用いた場合ではoctreeを用いれば、用いない場合の約5%のvoxel数で頭部の構造が表現できることがわかった。この場合では、octreeを用いればシミュレーション時間が最もよい条件で通常の1/20で達成できることが示された。 またモンテカルロ計算を行なうプログラムを作成し、このプログラム中の物体の記述を(1)で開発したオクトツリー表現のプログラムと組み合わせ動作確認を行なった。
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