研究概要 |
作成したプログラムの精度確認を、放射線治療やさまざまな分野でシミュレーション用に用いられているEGS4(Electron Gamma Shower ver.4)というプログラムとの比較によって行った。このEGS4と我々が作成した独自のプログラムとを比較した結果、計算結果はほとんど一致した。わずかな違いが現れた理由は、我々のプログラムではコヒーレント散乱を無視しているために、散乱光子の個数が数%低めの値となった。これは、演算時間を高速化するために、当該核種では散乱断面積の小さなものを無視したためであり、これらのことから我々の作成したプログラムの精度が確認できた。 次に、作成したプログラムの基本性能を評価するために、物体を基本の小立方体で記述して計算を行なうVoxel Based Metodのプログラムを作成し、このプログラムとオクトツリーを用いたものとの比較を行った。比較した点は、計算速度と計算精度、及び物体を記述するのに要するデータの大きさである。物体としては形状の複雑度の異なる3種類のディジタルファントム(Shepp phantom,Zubal phantom[brain,torso])を使用した。この際、CT画像からの画像輪郭を用いた。この結果、octree法は従来のVB法と比較して、記述領域数を62〜37%まで減らすことができ、また演算時間を67〜87%まで減らすことができた。プログラムのチューニングにより、さらにoctree法での高速化が期待でき、提案するアルゴリズムの有効性が立証された。
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