研究概要 |
平成7年度は物体をオクトツリーで表現するためのプログラムを作成し、このプログラムで記述された物体とオリジナルの物体が同一になるかどうかを幾何学的なモデルによってチェックした。また、核磁気共鳴CT画像から輪郭抽出を行い、この抽出された画像に対してオクトツリーで表現を行なった。そして、オクトツリー表現によって単位立方体数が、これを用いない場合に比してどの程度減少するかを調査した。この結果、オクトツリー構造を用いることによって円柱状のファントムは、これを用いない場合の24.7%の数のvoxel数で表現できることがわかった。さらに、モンテカルロ計算を行なうプログラムを作成し、このプログラム中の物体の記述をオクトツリー表現のプログラムと組み合わせ、動作確認を行なった。 平成8年度には作成したモンテカルロプログラムの精度確認を、汎用コードであるEGS4との比較によって行なった。この結果、計算結果はよく一致した。また、作成したプログラムの基本性能を評価するために、VB法のプログラムを作成し、このプログラムとオクトツリーを用いたものとの比較を行なった。比較した点は、計算速度と計算精度、及び物体を記述するのに要するデータの大きさである。物体としては形状の複雑度の異なる3種類のディジタルファントム(Shepp phantom,Zubal phantom[brain,torso])を使用した。この際、CT画像からの画像輪郭を用いた。この結果、octree法は従来のVB法と比較して、記述領域数を67〜37%まで減らすことができ、また演算時間を67〜87%まで減らすことができた。プログラムのチューニングにより、さらにoctree法での高速化が期待でき、提案するアルゴリズムの有効性が立証された。
|