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1996 年度 実績報告書

肝癌に対する荷電粒子線療法の確率に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 07457205
研究種目

基盤研究(B)

研究機関放射線医学総合研究所

研究代表者

辻井 博彦  放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター・治療・診断部, 部長 (50088853)

研究分担者 加藤 博敏  放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター・治療・診断部, 医長 (80250116)
向井 稔  放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター・治療・診断部, 医長 (10174236)
遠藤 真広  放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター・治療システム開発室, 室長 (40160402)
溝江 純悦  放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター・治療・診断部, 室長 (80091510)
安藤 興一  放射線医学総合研究所, 第3研究グループ・第1研究室, 室長 (00159526)
キーワード荷電粒子線 / 重イオン / 肝癌 / 重粒子線 / 線量分割法
研究概要

一般に肝細胞癌(HCC)は、C型肝炎から移行した肝硬変を合併していることが多いため手術可能例は20〜30%に留まり、肝切除後の5年生存率は40%以下である。放医研では1995年6月以来HCCに対して炭素イオン治療を行っている。目的は、炭素イオンを外科切除に替わる最も確実な治療法として位置づけることである。炭素イオンの特色をもってすれば、単に局所制御が確実になるだけでなく、他の治療法と比較して患者の負担も小さく、陽子線で制御困難な大きな腫瘍でも1〜2週間の短期間で制御でき、しかも反復治療も可能になると思われる。本研究では、主にHCCにおける炭素イオンの至適線量分割法に焦点をしぼり検討を加えた。1997年2月迄に炭素イオンで治療されたHCCは25例(26病巣)で、これらに対して炭素イオンの安全性と耐容線量をみるためのdose es calation studyを行った。照射線量は49.5GyE(2例)、は54GyE(3例)、60GyE(5例)、66GyE(8例)、72GyE(5例)、79.5GyE(2例)で、これらのうち6カ月以上観察可能な18例について照射後6カ月以内の局所効果をみてみると、CR3、PR12、NC2、PD1で、縮小率と線量との間には余り関係は認められなかった。しかし12カ月局所制御率は、49.5GyE100%(2/2)、54.0GyE50%(1/2)、60.0GyE80%(4/5)、66.0GyE100%(2/2)で線量依存傾向がみられ、臨床的には66.0GyE以上の線量で急に腫瘍の縮小が早くなった。副作用について見ると、79.5GyE群で湿性皮膚炎が認められたが、いずれも軟膏療法で治癒可能であった。肝機能は、殆どの症例で血液生化学検査値の一過性の変化を示したが、その程度は軽く線量群間の差はなく、いずれも6カ月以内に回復していた。しかし、腫瘍サイズが大きく、かつ肝機能がChildBのなかでも特に悪い患者では、照射後も長期にわたって肝機能検査のなかで鋭敏なプロトロンビン活性値(%)とICGの悪化傾向が見られた。
HCCの放射線治療の有用性をみるためには、治療効果を評価するための基準が必要である。このためCTによる効果判定基準案の作成を試みたが、これはすでに作成されているPEIやTAE治療後の効果判定基準と共通性を持たせるようにした。局所制御の判定や、放射線肝炎と再発あるいは残存腫瘍との鑑別には、造影CTとともにMRIも有用のようであった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 鎌田 正、辻井 博彦: "粒子線治療の現状と今後の動向" 先端医療. 3(2). 44-46 (1996)

  • [文献書誌] 宮本 忠昭、辻井 博彦: "重粒子線治療による肺癌治療の可能性" 臨床雑誌 内科. 78(5). 911-914 (1996)

  • [文献書誌] 辻井 博彦: "-医学への応用-病気を治療する" SUB Bulletin. 11. 12-16 (1996)

  • [文献書誌] 辻井 博彦: "重粒子線がん治療の展望と将来" 日本臨床. 54. 268-273 (1996)

  • [文献書誌] Endo,M.,Tsujii,H.: "Hiplan-a heavy ion treatment planning system at HIMAC" 日本腫会誌. 8. 231-238 (1996)

  • [文献書誌] Tsujii,H.: "Clinical experiences of heavy-ion radiotherapy with HIMAC. Proceeding of Acceleleratos for Nuclear Science and their Applications." Chengdu,China. 10. 21-23 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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