ウイスター系雄ラットに拘束ストレスを1日4時間、3日間負荷し、ストレス群とした.最終ストレス負荷から30分後に断頭し、視床下部を取り出した.この組織を用いてインターロイキン6(IL-6)およびIL-6レセプター、さらに癌遺伝子c-fosのmRNAの発現についてPCR法を用いて検討した。 ストレス群、およびストレスを負荷していない対照群のいずれでも、視床下部におけるIL-6のメッセージがわずかに検出された.IL-6レセプターのメッセージの発現については、ストレス群において有意に多く認められた.また、ストレス群の視床下部においては、c-fosのメッセージも確認された.これらの結果は、ストレス反応の経過にIL-6および癌遺伝子が何らかの役割を果たしていることを示唆している. 今後は、インターロイキン-1、2、10についても同様に検討を行ない、さらに、従来からストレス反応に関係が深いことが報告されているアドレナリンやオピオイドレセプターについて、その発現様式とインターロイキン-1、2、6、10の関係について検討を進めていく予定である.また、c-fosなどの癌遺伝子についてもストレスによって視床下部にmRNAの存在を確認したことから、癌遺伝子と神経伝達物質に対するレセプターとの関わりについても検討を行なう予定である.拘束ストレスについては負荷期間を変えて検討を行ない、他のストレスについても検討を加えたい.組織については脳内神経核レベルまで細分化したいが、RNAを保全したままこうした操作を行なえる実験環境の整備が難しく、現在検討中である.
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