研究課題/領域番号 |
07457210
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宮川 太平 熊本大学, 医学部, 教授 (90040542)
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研究分担者 |
安川 節子 熊本大学, 医学部, 助手 (80244119)
山下 建昭 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (10230418)
桂木 正一 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (00161092)
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キーワード | アルツハイマー病 / 老人斑 / 神経原線維変化 / 顆粒空胞変性 / タウ蛋白 / アミロイド |
研究概要 |
老人斑アミロイドの超微細構造が直径3nmの球状のsub-unitから成り、5個でone turnを繰り返す、らせん状構造であることを解明した。他方、家族性アミロイド・ポリニュロパシィー(FAP)では末梢神経系に多量のアミロイドが蓄積するが、中枢神経系には沈着しない。今回、FAPのアミロイドの超微細構造を検討した結果、sub-unitが5ないし6個でサークルを作り、その積み重ねでアミロイド線維が形成される所見を得られた。この構造の違いが、FAPのアミロイドが脳に沈着しない理由の一つになると考えられ、さらにアルツハイマー病のアミロイドが脳に沈着するメカニズムの解明に役立つと思われる。 神経原線維変化はアルツハイマー病の脳の多数の神経細胞に存在していおり、神経細胞脱落に関係すると考えられている。従来、神経細胞は神経原線維変化を細胞内の酵素で処理することはできないと考えられてきたが、我々は顆粒空胞変化を免疫組織学的に観察することにより、神経原線維変化に特有の異常燐酸化タウ抗体を証明した。この事は、神経細胞内でも神経原線維が形成される前に処理する機構が存在することを示しており、この処理機構を解明することで、将来的にはアルツハイマー病の神経細胞の中に形成された神経原線維変化を除去し、さらには神経細胞の脱落を予防する方法を開発できる可能性が出てきた。 また、アルツハイマー病ではその原因物質として、経口的に摂取された金属を想定する事も成されているが、長期間にわたり中枢神経がクモ膜下出血に由来する鉄に障害される条件下では、アルツハイマー病の病理学的所見を呈しないことを明らかにした。
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