研究課題/領域番号 |
07457217
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
近藤 洋一 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (70008598)
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研究分担者 |
正 公枝 群馬大学, 生体調節研究所, 教務員 (40201561)
戸村 秀明 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (70217553)
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (30142748)
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キーワード | アデノシン / TSH / カルシウムレスポンス / G-タンパク質 / 受容体遺伝子 / 情報伝達系 / cAMPレスポンス / 増殖制御 |
研究概要 |
1.アデノシン(Ado)によるTSHのホスホリパーゼC(PLC)/Ca^<2+>系活性化増強機構におけるGタンパク質Gi/Goの役割。1)この機構に関与するGi/Goを同定するため、百日咳毒素感受性部位のヌクレオチド配列を変えた百日咳毒素非感受性Giサブタイプ遺伝子を作成し、百日咳毒素処理により内在性のGi/Goを非活性化したCOS7細胞に発現させた。同細胞にTSH受容体およびAdoA1受容体遺伝子を導入発現させ、AdoによるTSHのPLC/Ca^<2+>系活性化増強作用を観察した。この再構成系を用い、少なくともGi2およびGi3が関与し得ることを確認した。2)このGiサブタイプ分子はAdo受容体を介してAdoにより活性化され、αおよびβγサブユニットに解離する。これらのサブユニットの作用機作を調べるため、常時活性化状態にあるように構造を改変したGi2αとβγサブユニット分子を別々に上記のTSH受容体+Ado受容体発現細胞に過剰発現させ、TSHとAdoの共同作用に対する影響を見た。その結果、これらの細胞にTSHとAdoを作用させたとき、βγ過剰発現細胞ではTSHに対するCaレスポンスが高いがAdoによる更なる促進は認められない。逆にα過剰発現細胞ではTSHに対するcAMPレスポンスは低いが、Adoによる更なる制御はおこらない。この結果は活性化により遊離したGi2αがAdoによるTSHに対するcAMPレスポンスの阻害を担当し、βγサブユニットがTSHに対するCaレスポンスを増強することを証明した。 2.増殖制御系の解析。TSHはcAMP系を介してセルサイクルのS期への導入を促進し、AdoはGiを介して阻害、ATPは単独ではCa系を介して促進するが、TSHの増殖促進作用は阻害する事を明らかにした。 3.スフィンゴシルフォスフォリルコリン(SPC)による細胞調節機構。これまで細胞内の代謝産物と考えられていたが、細胞外からシグナルとして作用する可能性があることを立証し、新たな一群の脂質シグナルの存在が予見された。甲状腺細胞ではCa系を介してホルモン合成に必須の過酸化水素生成を引き起こし、生理、病理的役割がある可能性も指摘された。
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