研究課題/領域番号 |
07457217
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (30142748)
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研究分担者 |
正 公枝 群馬大学, 生体調節研究所, 教務員 (40201561)
戸村 秀明 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (70217553)
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キーワード | 甲状腺 / 甲状腺刺激ホルモン / アデノシン / ホスホリパーゼC / アデニル酸シクラーゼ / カルシウムイオン / スフィンゴシン1リン酸 |
研究概要 |
我々は神経細胞さらに甲状腺細胞自体から放出されるアデノシンが甲状腺細胞においてTSHのアデニル酸シクラーゼ/cAMP系活性を阻害し、一方でホスホリパーゼC(PLC)/Ca^<2+>系活性を増強することを発見した。その結果、TSHによるPLC/Ca^<2+>系に連関したヨード放出、過酸化水素(H_2O_2)産生応答がアデノシン存在下で著明に増強される。本研究ではまずCOS細胞にとける受容体、G蛋白遺伝子またはそのミュウタント遺伝子の発現実験によりこのアデノシンとTSHのクロストーク機構を解析した。その結果、アデノシンによるTSHの2つの作用の修飾はいずれも単一種のG蛋白(Gi2またはGi3)でもたらされること、また、G蛋白は通常、受容体刺激でα,βγサブユニットに解離するがαサブユニットがAC/cAMP系活性阻害を、βγサブユニットがPLC/Ca^<2+>系活性増強を仲介していることが判明した。我々はさらに甲状腺細胞においてCa^<2+>動員をひきおこす脂質であるスフィンゴシン1リン酸(S1P)、スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)の作用を詳細に解析した結果、S1P、SPCが甲状腺細胞において、おそらく細胞膜受容体を介してPLC/Ca^<2+>系、H_2O_2産生を活性化する新規アゴニストとして機能しうることが判明した。このS1P、SPCの作用もアデノシンで増強され、アデノシンが甲状腺細胞のPLC/Ca^<2+>系において重要な調節因子であることも推定された。
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