研究課題/領域番号 |
07457228
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
山村 卓 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (20132938)
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研究分担者 |
菅野 良 国立循環器病センター研究所, 病因部, レジデント研究員
高市 成子 国立循環器病センター研究所, 循環器形態部, 室長 (00093930)
河口 明人 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室員 (70214608)
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キーワード | マクロファージ / スカベンジャー受容体 / サイトカイン / TGF-β1 / PAI-1 / THP-1細胞 |
研究概要 |
スカベンジャー受容体を発現しないTHP-1細胞株(TS細胞株)の検討 TPA刺激によりTS細胞株は、スカベンジャー受容体(ScR)活性、ScRIおよびIIのmRNA、LPLのmRNA、いずれもほとんど発現を認めなかった。ApoEのmRNAは、親株より多量に発現を認めた。TS細胞株をTPA刺激して24時間培養したconditioned medium(CM)を親株細胞の培地に加えると、親株のScR活性を約60%抑制し、48時間培養したCMでは90%以上抑制した。分化誘導刺激しないTS細胞株のCMは、親株のScR活性に影響しなかった。分化誘導していないTS細胞株、および親株のCMにはTGF-β1は測定感度以下であったが、分化したTS細胞株と24時間培養して得たCMには3.9ng/ml、48時間培養したCMでは6.7ng/mlのTGFβ1を含んでいた。このCMを抗TGF-β1抗体で処理することにより、親株のScR活性を80%まで回復した。TS細胞株CMのScRの発現抑制作用の1つは、TS細胞株より分泌されるTGF-β1によるものであると考えられた。 TGF-β1分泌とPAI-1産生との関連についての検討 PMA刺激したTHP-1細胞とU937細胞におけるTGF-β1のmRNA発現およびTGF-β1産生ならびにPAI-1産生との関連性について検討した。THP-1細胞およびU937細胞をPMA刺激することによって、TGF-β1mRNA発現は早い時期より起こったが、培養液中のTGF-β1蛋白濃度は24〜72時間で経時的に増加することがわかった。THP-1細胞はPMA刺激をしないとTGF-β1mRNA発現はほとんど観察されず、培養液中にはTGF-β1蛋白はほとんど観察されなかったが、U937細胞はPMA刺激をしなくてもTGF-β1mRNAは発現しており、また培養液中にもTGF-β1蛋白を観察できた。両細胞のPAI-1産生量の経時的変化を観察した結果、PMA刺激したTHP-1細胞およびU937細胞はそれぞれPAI-1を産生し、PMA刺激後の時間に依存して産生量は増加した。一方、PMA刺激していない両細胞からはほとんどPAI-1産生は観察されなかった。よって、THP-1細胞およびU937細胞においてPMA刺激することによりTGF-β1を産生し、受容体を介してautocrine的に作用し、そしてPAI-1産生が起こるものと考える。U937細胞はPMAで刺激しなくてもTGF-β1の産生がみられるが、PAI-1産生が観察されないことにより、PMA刺激によってTGF-β1受容体の発現が起こることが考えられた。
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