研究課題/領域番号 |
07457229
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部(病), 講師 (90181130)
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研究分担者 |
小川 誠司 東京大学, 医学部(病), 医員
田中 智之 東京大学, 医学部(病), 助手 (50227154)
花園 豊 東京大学, 医学部(病), 助手 (70251246)
三谷 絹子 東京大学, 医学部(病), 助手 (50251244)
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キーワード | AML1遺伝子 / 慢性骨髄性白血病 / AML1 / Evi-1融合蛋白質 / 転写活性 / 造血細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 |
研究概要 |
AML1遺伝子は慢性骨髄性白血病の急性転化や骨髄異形性症候群の白血化時に出現するt(3;21)染色体転座により再構成され、AML1/Evi-1融合蛋白質が産生される。AML/EVI-1キメラ蛋白質は造血細胞の分化抑制と増殖促進に作用する。すなわち、AML1/EVI-1は、(1)AML1と同様にAML1の特異的結合配列(PEBP2配列)に結合し、AML1によるPEBP2部位に対する転写活性をdominantに抑制する、(2)AP-1活性を上昇させる。これらの機能が、それぞれ造血細胞の分化抑制と増殖促進に関与し、leukemic transformationに至るのではないかと推定される。 AML1遺伝子からは、alternative splicingにより少なくとも2つのタイプの産物が転写・翻訳される。1つは転写活性化に必要とされるproline-,serine-,threonine-rich(PST)regionをもつタイプ(AML1b)、もう1つはPST regionを欠くタイプ(AML1a)である。これら両者のAML1蛋白質の血液細胞の分化・増殖における機能、ならびに転写制御における活性を検討した。その結果、(1)AML1aは32Dcl3細胞の顆粒球への分化を抑制し、さらにAML1bは、このAML1aの作用をキャンセルする。(2)AML1bはPEBP2部位に対し転写活性を有する。AML1aは、それ自身は転写活性化能をもたないが、AML1bによる転写活性をdominantに抑制する。(3)AML1aはAML1bに比べ高いaffinityでPEBP2 siteに結合する。(3)により、AML1aのAML1bに対するdominant negativeな作用は、PEBP2 siteへの結合の競合によると考えられる。(1)と(2)の結果より、AML1による転写活性化が、血液細胞の分化に必須なものであることが推定される。AML1のalternative splicing産物の相対量により転写活性が調節され、これにより血液細胞の分化がコントロールされる可能性が予想される。
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