NK細胞腫瘍へのEpstein-Barr virus(EBV)の感染に関する研究 多数例の解析の結果、急性型NK-GLPDやNK細胞リンパ腫ではEBVが原因の可能性が極めて濃厚で、一方慢性型NK-GLPDではEBVは病因には関与してないことが明らかとなった。さらに、EBV感染例では、EBVのterminal repeatに対するプローブを用いることにより、NK細胞のクローナリティが分かる。 2.腫瘍細胞の性状に関する研究 これまでに発表してきた通りである。まだ、未熟NK細胞由来か成熟活性化NK細胞由来かが不明な症例が多い。 3.MDR遺伝子の発現と治療法に関する検討 MDR遺伝子がコードしているP-glycoprotein抗原の発現の有無をモノクローナル抗体を用いて検討した結果、1種類の細胞株を除いて、正常NK細胞、NK-GLPD細胞、NK細胞リンパ種ではMDRが発現している。このMDRの機能は、シクロスポリンおよびシクロスポリン誘導体のPSC 833により、in vitroでは高率的に抑制される。今後、臨床的にもMDR機能抑制剤による治療の可能性が強く期待される。 4.EBVによる正常NK細胞transformationの試み 正常NK細胞およびNK細胞株にEBVを感染させたところ、EBV関連抗原のLMP-1やEBERの発現がみられる。この実験系では、in situ hybridizationなどの技術的な面でまだ問題があり、現在PCR法などの方法も用いてこの結果を確認している段階である。
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