研究課題/領域番号 |
07457238
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾股 健 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (50194634)
|
研究分担者 |
角田 一男 東北大学, 医学部・第二内科, 助手 (50217361)
阿部 圭志 東北大学, 医学部・第二内科, 教授 (60004777)
|
キーワード | 高血圧 / 血管平滑筋 / 細胞増殖 / ネフロン / チトクロムP450 / プロスタサイクリン / エポキシエイコサトリエン酸 / 20-ヒドロキシエイコサテトラエノイン酸 |
研究概要 |
高血圧の発症や維持には腎が重要な役割を果たしている。今回は腎性脈管作動物質の生理的役割について検討した。レニン・アンジオテンシン系、カリクレイン・キニン系、プロスタグランディン系、チトクロムP450系などの脈管作動物質はネフロン特異性があり、各部位のネフロン機能と密接に関連している。また、ネフロンの成熟と老化にともない著明な加齢変化を示す。高血圧では腎性脈管作動物質の産生異常が認められる。アラキドン酸代謝系の第3経路であるチトクロムP450系は19-ヒドロキシエイコサテトラエノイン酸、20-ヒドロキシエイコサテトラエノイン酸(HETE)、エポキシエイコサトリエン酸(EET)を産生するが、その生理的役割を明らかにした。20HETEは抵抗血管である腎輸入細動脈において血管内皮細胞依存性の血管収縮作用を持つ昇圧因子であり、EETは血管拡張作用を有する。さらに、培養メサンギウム細胞や血管平滑筋細胞では、シクロオキシゲナーゼ系のプロスタサイクリンとチトクロムP450系りEETは細胞増殖に対して相拮抗して作動している。すなわち、前者は細胞増殖を抑制し、後者は刺激する。アラキドン酸がシクロオキシゲナーゼにより代謝された場合には細胞増殖が抑制され、チトクロムP450により代謝された場合には細胞増殖が進展する。高血圧では前者が抑制され、後者の活性が亢進していることから、高血圧性血管障害や腎障害の進展機序にもこれらの脈管作動物質が関与していることが示唆される。
|