研究課題/領域番号 |
07457241
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
上田 尚彦 奈良先端科学技術大学院大学, 保健管理センター, 教授 (70115997)
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研究分担者 |
山内 淳 大阪大学, 医学部, 助手 (10271024)
今井 圓裕 大阪大学, 医学部, 助手 (00223305)
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キーワード | 糸球体腎炎 / TGF-β / アンチセンスオリゴヌクレオチド / HVJ-リポリーム / 遺伝子治療 |
研究概要 |
慢性腎不全の病態は、糸球体腎炎や糖尿病性腎症などの原因疾患にかかわらず、ある一定のメカニズムで糸球体線維化が進行していくと考えられる。我々は遺伝子導入技術を用いた研究により、過剰に発現したTGFβがこのメカニズムに強く関与することを示唆した。逆に、糸球体障害進展時に過剰発現するTGF-βを制御することにより、糸球体障害の進展を抑制しうる可能性を示すと考えられる。そこで抗Thy-1抗体腎炎モデルラットを用いて、TGF-βに対するアンチセンスオリゴ(AS-ODN)の腎炎進展抑制効果について検討を行った。まずFITCラベルしたAS-ODNを腎動脈からHVJ-liposome法により導入した後20分後に腎臓を摘出し、AS-ODNの導入効率について検討した。 AS-ODNはほとんど全ての糸球体の核に取り込まれていることが確認され、またメサンギウム細胞に対する抗体を用いた二重染色の結果、糸球体障害の進展に重要な役割を果たしているメサンジウム細胞の核に主に取り込まれていることが確認された。次に、Thy-1抗体投与し、腎炎惹起後2日目にTGFβに対するAS-ODNを腎糸球体に導入し、腎糸球体のTGFβmRNAへの影響を検討したところ、AS-ODN導入群では、Disease controlであるセンスオリゴあるいはスクランブルオリゴ導入群に比し、TGFβmRNAが抑制されることが確認された。腎糸球体での細胞外基質産生抑制効果を検討するために、Matrix indexを半定量的に評価した。AS-ODN導入群では、センスオリゴあるいはスクランブルオリゴ導入群に比し、細胞外基質の集積は有意に抑制されていた。以上からAS-ODNをHVJ-liposome法によりほぼ全ての腎糸球体に選択的に導入することが可能となり、糸球体硬化病変に対するAS-ODNを用いた遺伝子治療の可能性が示唆された。
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