密閉容器を用いた加圧系において、メサンジウム細胞、血管内皮細胞を用いて、Cell Vioabilityおよび接着因子について検討した。色素法および固定標本を用いた光学顕微鏡による観察においては、加圧が120mmHg6時間の時点でメサンジウム細胞と内皮細胞でアポトーシスが約10%に認められた。エンドテリンIとTGFβ産生は培地上清中の濃度にて計価したが、60mmHg以上の加圧はET産生を抑制し、一方TGFβ産生に対する作用は明らかではなかった。アンジオテンシンII刺激によるET産生の増加は加圧下でも同様に認められたが著名な増強作用はみられなかった。 次にメサンジウム細胞でアンジオテンシンII受容体の加圧下での動態をみるための実験を行った。アンジオテンシンII受容体を蛋白レベルで検出することは難しためにmRNAレベルでの解析を試みたが、僅かな変化しか認めることが出来なかった。次にRT-PCR法を用いたがGAPDHとの相対的変化について検討を試みた。その成績に関しては今回は残念ながら有意差を見い出すことが出来なかった。さらにもし受容体レベルでの何らかの調節が加圧によってなされていないとすると何がアポトーシスと関連してくるのかが問題とされた。そこで、次に接着因子とりわけインテグリンに注目した。インテグリンは細胞内情報伝達機構でいわゆるinside-out outside-inという特徴を有している。今回前実験ではあるが、インテグリンのうちVLA-4(α_4β_1)が長時間の加圧により増加することが判明し、これがアポトーシスと関連している可能性が示唆された。
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