各種遺伝子導入ヒト細胞を用いた癌に対する複合遺伝子治療に関する基礎的研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07457255
• 研究種目: 一般研究(B)
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 秋吉 毅 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70038660)
• 研究分担者: 馬場 欽也 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30271117) ; 渋田 健二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70253531) ; 中島 秀彰 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (20253528)
• キーワード: 遺伝子治療 / 遺伝子移入 / インターロイキン2 / レトロウイルスベクター / SCIDマウス / B7-2

研究概要

ヒト細胞にT細胞の分化誘導に重要な役割を果たすサイトカイン(IL2、IL4、IL6)遺伝子を導入し、免疫原性をたかめる接着分子B7、腫瘍拒絶抗原(MAGE)遺伝子をも導入して、各々について癌免疫遺伝子治療についての基礎的検討を行うとともに、これら導入細胞を組み合わせることによる複合癌免疫遺伝子治療の可能性について検討すべく検索をすすめている。本年度はまずレトロウイスルベクターへの組換えを完了したIL6遺伝子をヒト胃癌培養株化細胞に導入した。さらに、同様に組み換えを行ったIL2遺伝子をやはり、胃癌培養株化細胞にファイブロネクチンフラグメントを用いて導入し、高濃度のIL2を産生する株化細胞を得た。そこで、これら導入細胞についてcharactarizationを行うとともに、各々の細胞について同種および自己のリンパ球に対する反応をin vitroで検討し、さらにIL2およびIL6遺伝子導入細胞を組み合わせることによる反応性の増強について検討を行っている。また、SCIDマウスの実験系を用いて、同様に同種および自己リンパ球に対する反応性をin vivoで検討している。次に、IL4、B7-2遺伝子についてはすでにレトロウイルスベクターへの組み換えを完了した。またB7-1、MAGE-1、-3遺伝子については、cDNAの作製を行っている。これら遺伝子についてもファイブロネクチンフラグメントを用いて、同様の癌細胞への導入を試みる予定である。今後、これらの細胞を用いて複合癌免疫遺伝子治療への基礎的検討をすすめて行きたい。

研究成果

• [文献書誌] Inoue, H., Mori M., et al.: "The expresion of tumor-rejection antigen “MAGE" genes in human gastric carcinoma." Gastroenterol.109. 1522-1525 (1995)
• [文献書誌] Inoue, H., Mori M., et al.: "Human esophageal carcinomas frequently express the tumor-rejection antigens of MAGE genes." Int. J. Cancer. 63. 523-526 (1995)
• [文献書誌] Inoue, H., Arinaga, S., et al.: "Immunohistochemical features of HLA-DR antigen expression and lymphoid infiltrates in gastric carcinma after low-dose interleukin-2 and mitomycllin C." J. Immunother.17. 255-262 (1995)
• [文献書誌] Nakashima, H., Honda, M. et al.: "Microsatellite instablity in multiple gastric cancer." Int. J. Cancer. 64. 239-242 (1995)
• [文献書誌] Nakashima, H., Inoue H. et al.: "Microsatellite instability in Japanese gastric cancer." Cancer. 75. 1503-1507 (1995)
• [文献書誌] Li, JH., Mori, M., et al.: "Multiple tumor suppressor 1 gene and esophageal carcinoma." Int. J. Oncol.7. 257-260 (1995)