研究課題/領域番号 |
07457260
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
野一色 泰晴 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60033263)
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研究分担者 |
宮田 暉夫 高研バイオサイエンス, 研究所, 所長
孟 真 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70264645)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 骨髄 / A-Cバイパス / 人工血管 / 抗血栓性 / bFGF / 内皮細胞 / オートクリン / 新生内膜 |
研究概要 |
骨髄細胞のもつ特性、特に原始的細胞としての生命力、したたかさ、幹細胞としての活発な細胞分化能、細胞分裂能、そしてこれらの細胞活動に伴うサイトカイン産生能等を自由に人工物上で発揮させることにより高機能ハイブリット型人工血管を作成することに成功した。動物実験として、フィブリル長の長いe-PTFE人工血管に骨髄細胞の浮遊液を圧注入することによって細胞を人工血管壁に捕捉させた。これを成犬の腹部大動脈植え込み、植え込み直後より6ヶ月まで期間を置いて順次試料を採取して形態学的、免疫抗体法的手段により観察した。その結果移植された骨髄細胞は生着したのみならず、活発なサイトカインの産生を持続した。また造血作用も持続し、3ヶ月後においても人工血管壁内に造血中の赤芽球島が観察され、その周囲には無数の毛細血管が侵入した。免疫学的な検査では毛細血管や細胞侵入を促すbFGFが陽性に染色され、移植骨髄細胞から毛細血管を呼び込むためのサイトカインが多量に産生されていることが判明した。人工血管内面は肉眼的には植え込み3ヶ月目にも赤っぽい色調を示したが血栓の付着は認められなかった。そして光学顕微鏡による検査では内皮細胞が人工血管植え込み後18日目に内面を完全に覆っていることが明らかとなった。 これらの所見は人工血管のみならず、すべてのハイブリッド型人工臓器においてもはじめて得られた所見である。移植細胞が自由にその細胞のもつ特性を生かすことによって人工臓器自身が細胞を活性化させ、結果的に高機能人工臓器を完成させるものである。この概念はそして当然小口径人工血管、特にCABG用人工血管の設計に応用可能と思われる。この度の研究ではこのような考え方にもとずいて動物実験を伴う基礎実験を行うことができた。
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