研究課題/領域番号 |
07457266
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 巌 東北大学, 医学部, 助教授 (60125557)
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研究分担者 |
鈴木 裕一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (50091707)
舟山 裕士 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (50192315)
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キーワード | 大腸全摘術 / 電気生理学 / 分子生物学 / ナトリウムチャンネル / アルドステロン / 上皮細胞 |
研究概要 |
電気生理学的検討では、従来小腸には存在しないとされてきたアミロライド感受性Iscが、大腸全摘後に初めて観察された。その機構について推測すると、大腸全摘術後に特に下部小腸でγsubunit遺伝子が誘導されたことが、今回の電気生理学で捉えられた機能的変化に関与した可能性が強いと思われた。この変化は術後の高アルドステロン血症という状況で、より病態に合った吸収機構を獲得しようとする合目的変化と考えられた。術後の病態を全身的な固体の水分電解質バランスという点から考察すると、消化管から水分喪失と比較し便中への電解質喪失は術後8Wを経ても未だ高度であり、電解質の喪失が中、長期的にも無視できないものであると考えられた。従って、小腸の代償機構のみでは電解質の喪失を防ぐことが困難であり他の臓器、腎の関与が重要であると考えられた。尿中Naの大腸全摘後の著しい減少を考慮すると、腎臓での電解質吸収が著名に亢進していることが推察され、ENaC及びNa+-K+ATPaseなどアルドステロンにより制御される因子の遺伝子発現増強が認められたことにより、二次性高アルドステロン血症に由来する尿細管での電解質吸収の亢進が生じているものと考えられた。 臨床的に問題となる術後の難治性下痢という観点から考察すると、小腸に出現したアミロライド感受性Na吸収機構は、Naの吸収に随伴して水の吸収も同時に起こることから、術後の下痢の改善に寄与しているものと考えられる。さらに、遺伝子の発現レベルではその変化が捉えられなかったNa+-K+ATPase,Na/H exchanger、MRなども機能的には十分変化している可能性もあり、今後ヒトでの検討が重要であると思われた。
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