研究概要 |
1)われわれが樹立、継代しているヒト食道癌培養細胞6株とヌードマウス可移植性食道癌10株を用い、財団法人がん研究振興財団 国立予防衛生研究所 遺伝子バンクより提供をうけたウイルスgenomeを用いて、ヒトパピローマ(type 1a、2a、4、6、11、16、18)、EB、SV40、アデノ、B型肝炎ウイルス等のウイルスのDNAの検出を試みた。前記のウイルスのDNA検出を試みたが、今後の研究対象となるウイルスの検出には至っていない。さらに実験方法の変更等を試み、今後の研究の対象とするウイルスを選択している。 2)同一の材料を用いて、ミトコンドリアの超微形態学的観察を行い、ミトコンドリアの機能の分析としてコハク酸脱水素酵素活性をMTT(3-(4,5-dimethyl-2-thazolyl)-2,5-diphemyl-2H tetrazolium bromide)法にて測定を行った。それらの結果を温度感受性と比較検討した。その結果、ミトコンドリアの数が多いほど温度感受性が低く、コハク酸脱水素酵素活性が高いほど温度感受性が低かった。このことよりミトコンドリアの数およびコハク酸脱水素酵素活性が治療の抵抗性の指標になる可能性が示唆された。その成果を1996年1月27日、食道疾患研究会悪性度評価委員会 学術活動 食道悪性度評価に関するセミナーにて報告した。さらに化学療法および放射線療法等との関連についても検討中である。 3)患者より食道癌組織を採取し、新しい培養細胞株およびヌードマウス可移植性食道癌株を作製した。また、一部を凍結保存し今後の研究に備えた。同一の患者の血清を採取し、凍結保存し今後の研究に備えた。本年度は食道癌患者が少なく新しい培養細胞株の作製、ヌードマウス可移植性食道癌株の作製、凍結保存および患者の血清を採取が思うようにいかなかったので、さらに来年度は細胞株の樹立につとめる一方、すでに樹立した細胞株も研究の材料として加える必要がある。
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