研究課題/領域番号 |
07457271
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今村 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (00108995)
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研究分担者 |
小野寺 久 京都大学, 医学研究科, 助手 (50240825)
大塩 学而 京都大学, 医学研究科, 助手 (80131100)
細谷 亮 京都大学, 医学研究科, 講師 (00139908)
嶋田 裕 京都大学, 医学研究科, 講師 (30216072)
有井 滋樹 京都大学, 医学研究科, 講師 (50151171)
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キーワード | 消化器癌 / 浸潤転移 / 遺伝子 / 細胞外マトリックス分解酵素 / 血管新生因子 |
研究概要 |
1.消化器癌の浸潤・転移に関連する遺伝子の解析 食道癌 VEGFの発現度と腫瘍深達度、リンパ節転移、微小血管数に相関を認め、さらにp53変異とVEGF発現度に関連を認めた。細胞運動抑制に関与するMRP-2/CD9の発現は腫瘍深達度、リンパ節転移に関連を認めた。E-カドヘリン・α-カテニン、β-カテニンと臨床病理学的所見との相関は得られなかった。 大腸癌 切除標本のノザンブロットによりVEGF,MMP-9,MT-MMPのmRNA発現度と肝転移率が有意に相関することを明らかにした。そして、これらを組み合わせることにより肝転移の高危険群を設定することが可能となった。 肝細胞癌 肝細胞癌の重要な浸潤様式の一つに腫瘍被膜浸潤がある。切除標本を用いたmRNA発現(ノザンブロット)の解析により、bFGF,マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9、MT-MMPが被膜浸潤と有意な相関を示すことをはじめて明らかにした。一方、VEGFが腫瘍の血管新生に関与することを示した。 膵癌 活性型MMPとVEGFの発現を中心に検討した。MMP-9活性型発現は低率なるも、活性型MMP-2は全例で発現し、その活性化度は慢性膵炎組織より癌において有意に高値であった。MMP-2活性化度と癌の膵周囲浸潤度、リンパ節転移、肝転移と密接に相関した。VEGF発現は70%の症例でみられ、腫瘍内新生血管密度と相関した。 2.新しい浸潤転移関連遺伝子の発見 肝に特異的に発現する遺伝子(kan-1と命名)を発見、後にこれが胆汁酸抱合酵素の一種であるacid CoA-amino acid N-acyltransferaseをコードすることが判明した。そして、kan-1 mRNAの発現度と肝細胞癌患者の切除後の予後と逆相関することを示し、新しい予後予知因子として有用であることを報告した。
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