研究課題/領域番号 |
07457272
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩崎 均 大阪大学, 医学部, 助教授 (70144475)
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研究分担者 |
五福 淳二 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (20291445)
矢野 雅彦 大阪大学, 医学部, 助手 (70273646)
井上 雅智 大阪大学, 医学部, 助手 (80232560)
辻仲 利政 大阪大学, 医学部, 講師 (40188545)
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キーワード | E-cadherin / β-catenin / チロシンリン酸化 |
研究概要 |
昨年度までは、E-cadherinの機能制御蛋白としてβ-cateninの減少、チロシンリン酸化について検討してきた。最近、β-cateninは癌抑制遺伝子APCのシグナル伝達分子としての役割が明らかになってきたので本年はこれについて検討した。1)β-cateninはE-cadherinと結合して膜に存在する分画と細胞質にE-cadherinと無関係に存在する分画に分けられた。2)癌細胞ではこの細胞質のβ-cateninが有意に上昇していた。3)APCの変異のある例だけではなく、かなり高頻度に認められた。4)β-catenin自身の変異は認められなかった。5)臨床的には細胞質のβ-cateninが上昇する症例は予後不良であった。6)特に胃癌ではE-cadherinの減弱している低分化型腺癌に細胞質β-cateninの増加が高頻度に見られた。今後も更に培養細胞株、臨床材料の両面からこの研究を進めていきたい。 また、昨年までE-cadherinの蛋白フラグメント(s-ECD)の検出とその腫瘍マーカーとしての臨床応用について検討していたが、本年はこのメカニズムを蛋白分解によるものと想定し、基礎的な実験を行った。1)s-ECDは癌細胞の培養上清中に検出され、蛋白分解酵素阻害剤により抑制された。2)E-cadherinはトリプシンで分解されたが、プラスミン、トロンビンでは分解されなかった。3)エタノール固定細胞を用い、in vitroのE-cadherin分解活性測定系を樹立した。4)これを用い各種臓器のE-cadherin分解活性を測定した。癌組織、正常上皮ともにこの活性が存在するが明らかな差は認められなかった。5)各種癌細胞の培養上清のE-cadherin分割活性を測定したが、細胞間で大きな差があった。E-cadherinを持たない繊維芽細胞も分解活性を有した。今後は、分解酵素の同定を含めこの研究を更に発展させたい。
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